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2014年5月30日 (金)

混迷の医学部設置騒動

東北地方への医学部の1校設置が認められ、厚生病院・福祉大連合、東北薬科大の宮城県勢2校に加え、春先に表明した南東北病院を運営する脳神経疾患研究所(福島県郡山市)を合わせて三つ巴での争いでした。

それが5月30日の東北地方への医学部設置申請期限直前に、福祉大が離脱し(させられ?)構想の中心でこれまで動いてきた仙台厚生病院と栗原市が県に泣きつく形で、「県立医科大学」の再検討を村井知事に依頼し、それに知事が受け入れる形で、”県立”での申請に動いたのは周知のとおりです。

急展開のニュースから、記事にしたいと思いながらもさすがに平日はフォローできずに、申請期限のタイミングで週末にまとめてとなりました。

本日申請した3校は下記の通り。

大学名・学部名

申請者名

設置予定場所

開設予定時期

国際復興記念大学(仮称)
  医学部医学科

国際復興記念大学設立準備室

代表 渡邉 一夫

福島県

郡山市

平成28年4月

東北医科薬科大学
  医学部医学科

※東北薬科大学から改称予定

学校法人東北薬科大学

宮城県

仙台市

平成28年4月

宮城県立医科大学
  医学部医学科(仮称)

(又は宮城大学
  医学部医学科(仮称))

宮城県

宮城県

栗原市

平成28年4月

前のめりの宮城県

この件は、

県の側に立つと「県としての行政の中立性を自ら放棄してまで、県北の医師不足を解決するための覚悟を示した」という見方ができる一方、

すくなくとも薬科大学としてみれば「後出しじゃんけんで、勝手にルールを曲げるのは、行政としてあるまじき行為。そもそも、どちらかに肩入れするのはどうなの?」

という見方もできる。

後出しじゃんけんというのは

(1)「県立での設置は財政的に困難」とされたからこそ、県内では私立の2大学が手を挙げたということ。

(2)「設置場所が仙台以外の県北が望ましい」という県としての姿勢が、これまで明確に示されていなかったのに、この段階になってその姿勢を錦の御旗に、突然の方針転換を正当化したこと。

(3)県立で設置するには設置費用を抑えるため、医師の定員を1学年100名から60名に減らしてまで、県立かつ栗原設置を優先させること(薬科大は100名定員)

これは、薬科大側からすると、大金をかけて旧東北厚生年金病院を取得したのも、本来薬科大学だけであれば、附属病院は不要なわけで、当然医学部構想も視野に入れての話。

それに、これまで知事は「医学部を東北に、できれば宮城県内に」との姿勢で、仙台への設置は自然の流れとされていたところ、ダークホースの栗原市が名乗りを上げたとたんに、栗原に肩入れし始めました。

県としても、昨年医療圏が統合され、今回話題の中心になっている栗原医療圏が隣接の医療資源が比較的充実している大崎市古川を中心とした「大崎・栗原医療圏」に統合され、栗原市単独での医療環境の維持が難しくなってきたからこそ、”栗原キャンパス”構想に前のめりになったのでしょうが。

県として「仙台以外が望ましい」という条件を明らかにしていれば、薬科大は東北厚生年金病院の取得に動いていたかどうかはわからない。

これが民間同士の競争で選定されなかったのであれば、自己責任となりますが、県が横やりを入れたことで、選定から漏れたとしたら、薬科大側の判断次第では訴訟沙汰になってもおかしくない危ない橋なのではと感じます。

栗原キャンパス構想について

福祉大・厚生病院連合から最初にこの構想が出た時の記事に、栗原に設置する場合の懸念点は記しています。私立であれば、さまざまな勝算のもとに申請するのだから、そういうのもありかなと思っていたところですが、これが県立ということになるとまた話は違ってくる。

栗原市に医学部新設?(H26/3/2)

人口約7万人とはいえ、広いといわれる107万都市仙台市を超える面積を持ちながらの過疎地である栗原市。中心部の旧築館町も1万5,6千人の町だった訳で、そのような地域が600床の病床を持つ大学病院を維持できるかというと、かなり困難と言わざるを得ないと思います。

患者集めは?

地域の医療需要を、この大学病院に集中させ、かつ隣接する登米市や一関市、大崎市方面からの需要を集めるにしても、公共交通機関は新幹線と高速バスのみで、鉄道もなく、路線バスも壊滅状態のため、自ら車または、家族の送迎が前提で、どれだけ集めることができるか?

仮にこの大学病院が患者集めに成功したとしても、同規模の県北の基幹病院である、来月移転開院の大崎市民病院に影響が出てくることは否めない。大崎市も建て替え地の迷走と震災後の工事費UPにより財政的に厳しい中、新県立大学病院との患者の取り合いというのは望ましいことではない。

患者よりも。。。

そもそも、医師集めの困難さは過去記事に書いた通りで状況は変わらず、さらにそのほかの薬剤師・准看を含む看護師、コメディカルの確保は、現時点の大崎・栗原エリアでも、既存の病院、クリニックを含めてなかなか集まらない状況と聞いており(仙台志向が強い)、患者以上にスタッフが取り合いになってしまうのではと。

県の循環器呼吸器センターからスタッフを移籍させるにしても、診療科も病床もかなり増えるので、それだけでは当然無理だよなぁと。

県立でやるんだったら。。。

なお、別に、栗原設置に血眼に反対して、仙台設置が望ましいということを主張しているわけではないので一応。仙台には500床以上の大病院が複数バランスよくあるので、無理に医学部・大学病院を設置しなくとも、医療環境は恵まれているので。

個人的には、県立大学としてやるんだったら、県内第二、第三の都市である石巻市、大崎市を無視してというのは疑問に感じるし、当初から県立大学でやるとの話だったら、他の都市も手を挙げていたでしょうという問題意識。(私立大学に任せるんだったら、仙台でもやむを得ない。)

同じように公立病院を持ちながらも、運営に苦労している白石(刈田総合病院)もあるし。石巻は医学部設置に手を挙げながらも袖にされた感じだったし。まぁ石巻は日赤病院が地域一番の医療機関なので、そことのバランスも難しいところなので、やむを得ないかもしれないが。

また、大学病院に600床必要という杓子定規な基準?には疑問を感じるところで、450~500床程度であれば十分でしょうから(薬科大の450床の現病院活用がどう判断されるか)、県北への設置ということであれば、大崎市と組んで市民病院を大学病院化し、そこを拠点に栗原や登米市の公立病院へ医師派遣という方法もある。

栗原中央病院も前身の公立築館病院、若柳と栗駒町の国保病院が持っていた病床をかき集めてようやく300床の拠点病院として運営していた経緯がありながら、医師不足で診療科も病床も完全に機能していない状況だったので、その300床相応の病院として機能の充実を図るというのが身の丈にあった方法。

それがうまくいかないから、医学部を持ってこれば、大学病院として医師も確保できるというのはちょっと夢物語なのではと思った次第。これが”政治”の本質なのかもしれませんが。バランス感覚を持っている知事の判断としてはちょっと意外な感が。

なお、県も栗原市も血眼になって否定しているが、現在ホットな「放射性廃棄物処分場」は栗原市も候補地とされているし、それとのリンク(バーター)を疑われてもおかしくない状況なので、なんかすっきりとしません。

今日の夕方のスーパーニュースでは、県は議会の議決は事後で、今回の申請を行ったとのことも報道されており、あまりに拙速すぎる感があります。今回の申請に対して夏には1校が選定されるとのことですが、その前にせめて県議会でもしっかり問題点等を議論してほしいと思います。

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コメント

今回の宮城県の対応で一番腑に落ちないのは定員を最小の60人にしていることです。
明らかに医師不足対策に逆行しています。
医学部新設は「震災からの復興」「東北全体の医師不足解消」が大きな目的だったのではないでしょうか。
知事自ら「何がなんでも宮城県に設置したい」「栗原市は医師不足だ」と高邁な理念を矮小化してしまったように感じます。

また単科大学を設置するか宮城大学に医学部を増設するかは検討中、教員や医師の確保策も未定ではさすがに拙速の批判は免れないかと。

時間がなかったとはいえ県議会への根回しなしというのはどうなんですかね
仮に患者や医師の確保がうまくいかず大学病院の経営に失敗すれば多額の財政負担を負ってしまう訳ですし
県にその覚悟は本当にあるんでしょうか
県民負担という事態はご勘弁願いたいものです

>>東京人さん

コメントありがとうございます。
定員を減らしたことについては、他候補と比べて最大の急所になるでしょうね。

知事としても、締切4日位前に、急転直下で県立での設置の依頼を受け、すぐに結論を出さざるを得なかったことについては、非常に気の毒な面もある反面、でも、その「時間がない」ことを理由に、断ることもできたはず。

「厚生会」と「栗原市」に対し、断ることのできないなにがしかの理由があったのではと勘ぐってしまいます。

なお、仮に県立大学にする場合は、教養課程の効率的設置の面と、既存看護学部との連携のため、宮城大学に併設という選択肢しかないと、個人的には思うのですが、なぜ以下たった1学年60人のために医科単科大学を設置するという選択肢が残っているのかが分かりません。栗原市への配慮なのか、宮城大学を使いたくない理由があるのか。

>>よもぎ さん

今回の件は、県の判断というよりは、知事の判断でしょう。

教員を集めるにしても、これだけ「東北から引き抜かない」と足枷がはめられている中、東北大学医学部頼りもできないので、好条件を出して、”東北以外”から”栗原市に”集めてこなければならない。それでも集まればいいけど、集まらなかった場合、診療にも教育にも支障が出て、卒業生が出せるか?という、結末に至ってしまう可能性もあります。

6月に県議会があるようなので、そこで大いに議論されるでしょうから、注視していきます。


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