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2013年3月10日 (日)

災害公営住宅整備について(1)

震災からまもなく2年が経過します。

あふれんばかりの震災回顧報道が始まり、震災を風化させない意味では積極的にやって欲しい反面、興味本位の報道は被災者の心をえぐることになるので、複雑な気分。

さて、大部分の被災者は現在仮設住宅(プレハブ、民間アパート借り上げ)に住んでいますが、当初の2年間の期間がさらに1年間延長され、さらにもう1年延長という話もあります。

 被災された方は高齢者が多く、自前での住宅再建は難しい方も多いでしょうし、災害公営住宅に頼る割合は高いながらも、災害公営住宅の建設は遅れに遅れていて、今春第一号が山元町の新山下駅予定地付近に30戸弱完成しますが、全ての完成はまだまだ先で、仮設住宅からの退去はなかなか進みません。

 ジレンマとしては、特に石巻以北では、仮設住宅用地に使えそうな平地の確保に奔走したため、仮設住宅がなくならないと災害公営住宅の用地が確保できないというところが。

 特に気仙沼は被災しなかった平地が少なかったので大変です。

仙台市では

 市内の被災者だけでなく、県内の沿岸部および福島県からもかなりの被災者が仮設住宅に集まってきており、災害公営住宅の建設ボリュームもかなりのもの。

 

 単なる被災者向けの住宅であれば、元の住居の近くに確保したいところですが、仙台市は先を見据えて、戦略的な配置及び確保手法を用いています。

 

 それも、コンパクトシティの考え方に沿って、これを機会に鉄道沿線への人口集約を図っています。それは集団移転地も含めて。事業費は復興増税などで国から手当されるので、ケチる必要がないためか。賢いやり方だと思う。

仙台市の復興公営住宅整備計画(PDF)

地下鉄東西線沿線への誘導

 市内で最も被害が大きかった荒浜・深沼地区からの移転先としては、地下鉄東西線終点の荒井駅周辺の区画整理地にかなりのボリュームの復興公営住宅(仙台市での呼び方)及び移転先の宅地を確保しています。移転スケジュールはもう3年後に開通する地下鉄のスケジュールとばっちり一致し、またこれから始まる区画整理事業地(荒井西・荒井東・荒井南)もあり、災い転じて福となすような状況です。

 

 被災者の中でも子供がいる世帯は、通勤や教育環境及び再度の津波の危険性を考えると、なるべく便利な場所に移転したいという気持ちを持つ方は多いですし。高齢者でも病院通いとかを考えると、同じ考えの人も多い。

荒井東区画整理事業地では、第一期で197戸(H25年度)、第二期で100戸。そのほかの荒井駅周辺で240戸と、ここだけで500戸以上の供給がなされます。

 そのほかにも、東西線沿線では、六丁の目駅及び卸町駅周辺でH26年度までで約200戸の整備が予定されています。

その他の地区

 仙石線福田町駅から徒歩圏の田子西の区画整理地内でも176戸がH25年度に完成、

地下鉄南北線長町一丁目から徒歩15分の若林西(ゼライス跡地)でも152戸。ここは津波被害を受けた井土浜や六郷地区からの移転を想定しています。隣接地にはヨークベニマルとカワチ、100均のセリアも今年中に立地し、相乗効果を狙っています。ここは人気になるでしょうね。

 

 なお、太白区では、津波ではなく地すべり被害を受けた緑ヶ丘からの移転を想定した鹿野芦の口 でも計100戸強を確保しています。

 加えて、北六番丁通町などはホント都心部でマンション立地にふさわしい場所で、ここはあえて災害公営住宅で整備する必要はないのでは?と思うところにも建設予定です。

(文章がくどかったので修正しました)

これまでの市営住宅との違い

 仙台市のこれまでの市営住宅は、明らかに土地の確保のしやすさを優先して、開発地や市街地の端っこなどの不便な立地が多い印象がありました。東四郎丸などは、端的に分かりやすい四郎丸の端っこ(名取市との境目に近い)だし、高砂団地も高砂駅から歩けるにしてもち微妙に遠い場所。郡山は現在でこそあすと長町開発で太子堂駅から徒歩5分程度に改善されていますが、かつては貨物ヤードを挟んだ微妙な場所。あとは鶴ケ谷、太白団地などのオールドニュータウンの一角に集まっています。幸町、小松島など都心近郊の土地が確保しやすかった場所にもあります。

 

 市営住宅は、比較的低所得者向けの住宅として、競争率が高いと聞いています。

一方、今回整備される復興公営住宅は、入居条件が厳しいため被災者が亡くなったり自宅を購入して退去した場合、その部屋は空き部屋になって行きます。阪神大震災があった神戸でも、同種の公営住宅の空き部屋問題があります。

 

 市営住宅のように不便で土地が安い場所につくってしまうと、将来の入居率や維持管理に問題が生じる可能性が高いので、これを機にコンパクトシティの考え方のもとに鉄道沿線に集約しようという考えのようです。

 

 将来空き部屋が生じた場合に、国の縛りから市営住宅としての転用できるかは?ですが、便利に場所に作っておけばなにかと活用しやすいでしょうね。そうすると、将来的なお荷物になることを回避し、仙台市としての資産として活用していけそうです。

 

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コメント

北六番丁や通町の他に、梅田町や宮城野、泉区にも建設予定が新しく出ていますね。

東日本大震災の被害は、津波だけではありません。
地震による建物の被害で、仮設住宅に暮らすことを余儀無くされている方が、市内のいたるところにいらっしゃいます。
都心部にお住まいだった方ももちろんたくさんいらっしゃいます。
むしろ、津波被害ではないと言うことで、軽視されている実情もあると聞いております。
沿岸部の方が元の住まいに近い地域に戻られたいのと同じです。
必要のない地域ではありません。

投稿: あい | 2013年7月15日 (月) 16時36分

>>あい さん

コメントありがとうございます。

泉中央や梅田町、宮城野など、地下鉄沿線や都心近郊の予定地への整備は被災者の生活や将来の建物活用を考えると大賛成というのは、本文のとおりです。
都心部への整備は必要ないというところが気になったと思慮しますが、
もちろん、復興公営住宅としては、
とにかく早く供給できる都心部の市有地を活用した面もあるので、
否定するべきものではありません。
また、都心部の建物被害を受けた被災者も多くいることも承知しています。

5月の記事ですが、
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1062/20130501_02.htm
に各地区ごとの希望倍率があります。
明らかに、便利な通町の倍率が募集戸数が多いのにもかかわらず、
第一希望だけでも3倍近くとなっており、近くでの被災者の受け皿というよりは、
市内郊外だけでなく、市外からの被災の方の希望が集中しています。
便利なところに安く住めるのであれば当初から想定された結果であり、
なので、「あえてここに。。。」ということを感じたまでです。
気を悪くされたのであればすみません。

また、賃貸居住者と持家とでは、全く影響が異なるところを一律の制度で対応せざるをえなかったことの方が、なにかと矛盾と不公平が生じていることも気になっています。

(コメント部分のうち、本文引用部数行のみ削除させて頂きました)

投稿: S-Watcher! | 2013年7月15日 (月) 20時10分

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