先月末に河北一面に取り上げられていた記事でしたが、なかなか時間がなく記事にできなかったので、忘れないうちに。
仙台市地下鉄東西線利用者、予測3割減 1日8万人に修正
仙台市は25日、2015年度開業を目指し建設を進める市地下鉄東西線(動物公園-荒井駅、全長14.4キロ)について、1日当たりの利用者を当初予測の11万9000人から3割減の8万人に下方修正した事業の再評価結果を公表した。予測修正に伴い、単年度黒字の達成は、1年遅れの開業10年目(24年)、累積欠損の解消は4年遅れの24年目(38年)になった。
市は03年、国の鉄道事業許可を受けた際、開業時の人口を107万6000人と見込んで需要を予測した。今回は、少子高齢化の進展を考慮し、推計人口を105万1000人に修正した。
全13駅沿線の推計人口は、当初の35万3000人から8.6%減の32万2000人に減少。動物公園駅(太白区)を整備する八木山地区の人口減が特に進むと予想した。
一方、東日本大震災で被災した市東部沿岸地区の住民の多くが荒井駅(若林区)周辺に移転し、利用しやすくなるとして、荒井地区の利用者数は数百人増と見込んだ。
景気低迷によるビジネスマンらの移動距離の減少など社会情勢の変化も考慮し、利用者数の減少を算定した。
事業費は経費節減を実現する新技術導入などで437億円圧縮し、2298億円と見込んだ。事業効果を計る国の基準に「快適性」「定時性」など新たな指標が加わったことで、費用と効果の比率「費用便益比」は1.62から1.59の微減にとどまった。
市交通局東西線建設本部管理部の鈴木昭部長は「社会情勢の変化に基づき算定した結果で、当初の見込みが甘かったとは思わない。事業効果を高めるため、人件費抑制などに努める」と話した。
再評価は前年度中に行う予定だったが、震災の影響でずれ込んだ。結果は8月9日に開かれる市公共事業再評価監視委員会で示し、同月中に国へ報告する。(7/26河北)
先日、市博物館のインカ帝国展とメディアテークをハシゴした際、国際センター駅付近、西公園を散歩しながら行ったけど、広瀬川の橋梁工事や駅部工事も着々と進んでいて、期待感が湧きました。この辺は、仙商とスポーツセンター跡地を活用したコンベンション施設の構想も消えていないようで、国際センターや東北大と連携した一大集客拠点に化けることが、東西線の利用者増には欠かせない。
そいえば、昨日七夕花火がありましたが、一年に一日とはいえ、東西線が開業したら川内キャンパス側へのアクセスが良くなるため、花火の鑑賞場所も広がったり、混雑緩和に役立つかもね。
8万人という利用客予測について
まぁ市として出せる見直し結果としてはこんなもんでしょう。自分は無条件の東西線賛成派ではないし、8万人という数が開業当初から達成されるかというと、厳しいだろうとは思うが、もう3年で開業するのだから、できるだけ有効活用してほしい派。
現南北線の全線利用客15万人(乗車のみ)及び各駅利用客からすると、おおざっぱな一日あたり利用客(乗車客)は予測できるかと。あくまでも勝手な予想です。
動物公園 5000人(バス乗継含み)
青葉山 2000人
川内 1500人
国際センター 1500人
西公園 5000人
一番町 8000人
仙台 15000人
新寺 3000人
連坊 1500人
薬師堂 4000人(バス乗継含み)
卸町 5000人
六丁の目 3000人
荒井 5000人(バス乗継含み)
あくまでも東西線だけで乗降が完結する場合の開業5年後の固めの予想。開業当初はもうちょっと厳しいかも。
単純に足し合わせると、約6万人になるけど、これに加えて南北線からの乗り換えが1万~1.5万人程度と見込むと7~7.5万人。南北線からの乗り換え分はあまり増収にはならないんだけど、一応利用者には含まれる。
一方、ひより台や人来田などからのバス乗継利用客が動物公園駅にシフトすれば、その分長町南駅の利用客は減ることになります。
鍵は、大学生(東北大、宮教大、東北工大)の利用増。特に東北大学生は4~6年かけて地下鉄沿線の住居選択も増えていき、徐々に地下鉄通学にシフトしていくだろうし、現在学都仙台フリーパスという破格のフリー定期券で公共交通機関への誘導を図っているけど、こちらは長期戦になるかと。東北大は学内(川内キャンパス⇔青葉山キャンパス)の連絡バスも検討を進めるなど、地下鉄駅を降りてからの足の確保も考えているようで。あと自家用車禁止措置など、どれだけ利用促進の取り組みを進められるか。東西線は東北大のためにつくったようなものだから、職員・学生の利用促進頼みますよ!
一方、高校生は半分以上は自転車通学(特に男子は8割)なので、坂が多い八木山からの通学と、沿線の女子高向けしか期待できないでしょうね。

他都市のリニア地下鉄との比較
なお、反対派が同じくリニア地下鉄での失敗例を挙げて、神戸市の海岸線、福岡市の七隈線は需要予測の半分以下の4,5万人しか使わなかったという乱暴な主張をしていましたが。。。
神戸市海岸線(三宮・花時計前⇔新長田):
・大震災で沿線から利用者が流出し、そもそも復興公共事業。
・ターミナルの三宮で既存路線との接続が悪く、地下街を挟んで乗り換えを強いられる(地図)。
・中心部の三宮から西方向しか行けない
・終点の新長田は市営地下鉄西神・山手線の駅で、遠回りのセカンドルート (この駅での乗り換え需要はある程度見込めても、全線を通しての利用者は見込めない)
福岡市七隈線(天神南⇔橋本):
・こっちも、都心の天神から一方向(南西側)しか行けない
・天神南で地下鉄既存路線(空港線)へ乗り換えようにも、改札外の地下街を5分歩かされる
(新幹線の博多駅、福岡空港へも乗り換えが不便)
・沿線は西鉄バスの牙城。地下鉄に対抗してバスで天神や博多駅まで直通させており、地下鉄への利用者転移がなかなか進まない。地下鉄も路線が大きく遠回り。
との理由があり、そのまま仙台の東西線に当てはまるわけではない。少なくとも、
・東部と西部から仙台駅への需要、および仙台駅を超えての相互需要がある。(当然、中心駅の仙台駅に乗り換えなしで行ける)
・既存路線の南北線とは仙台駅でクロスしており、乗り換えで改札外を歩かされることはない。南北線との乗り換え需要もそれなりに見込める。JR仙台駅からの乗り換えも改善される。
・既存バスを運行しているのは、同じ事業体の市交通局で、地下鉄開業後はバスを地下鉄の最寄駅へ結節させたり、路線と平行するバスは廃止など、福岡のようなバスVS地下鉄の無用な競争は起こらない
というような、比較の2都市とのいい意味での違いはある。
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