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2012年3月 4日 (日)

JR気仙沼線の再建問題

柳津(登米市)―気仙沼駅間は震災で不通が続き、さらに津波で線路や鉄橋が流出したところも多く、再建には多額の費用と期間が必要とされています。

 JRは震災当初こそ、「全路線を責任を持って復旧させる」と大見得切ったものの、三陸沿岸の赤字ローカル線を中心に、復旧には及び腰になっています。三陸鉄道は赤字会社なので100億以上の国からの補助が出るのに、1兆円企業で首都圏と新幹線で大幅な黒字を計上しているJR東日本に対しては、「自前で復旧を」という国の方針となっています。

 確かにJRとしては同じ赤字ローカル線への復旧補助なのに不公平感を感じるのでしょうし、株主配当への影響などを踏まえて、「BRT(高速バス輸送システム)」を持ち出してきて、将的な鉄道復旧は否定せずも、長期的な作戦ではぐらかしモードに入っています。

 自分の震災当初の考えは、盲腸線部分(石巻線の石巻―女川間)は廃線やむなし、気仙沼線はネットワークの観点から残せればいいけど、快速南三陸の仙台までの所要時間の2時間が、高速道路の延伸で高速バスに対する時間的優位性が薄れれば、復旧しても厳しいのかなと思っていました。三陸鉄道は少なくともリアス南線の部分は厳しいし、大船渡線は、対新幹線のフィーダー輸送を考えて一応復旧する価値があるかなと。JRを擁護するわけではないが、客観的に考えると全てを鉄道での復旧は厳しい。

そもそも、気仙沼市長だっけ?当初は鉄道復旧がすべてではないというようなことを言ってたけど、市民から批判されて撤回したようですね。また三陸鉄道が復旧するのに気仙沼線が廃線というのは許せないというのもあるのでしょうが。

JRのスタンス

 気仙沼線だけでなく、大船渡線、山田線に対して、このBRTを提案して、あくまでも一時的な仮復旧と言っていますが、JRとしては自前で鉄道復旧するつもりはさらさらないでしょうね。もともと本数も少なく、やる気がなかった状態でした。震災がなかったとしても、廃止したかったのでしょうね。ホンネでは。

もちろん、集団移転などの行く末がわからず、どこが町の中心になるかわからないままで、再度の津波の襲来可能性は50年スパンでは考えられるので、鉄道事業者として同じ場所での再建もできない。そうなると、JRとしても動きようがない面もありますが、時間を引き延ばして自治体や国がしびれをきらして補助の仕組みが整うことを狙っているのでしょうね。もちろん、補助がなければそのままでしょうし。まず可能性は低いながらも、仮にBRTが好評で成功した場合は、「鉄道になると本数は減る」とか「鉄道復旧までの間はBRTの専用線部分が使えないから逆に時間がかかり不便になる」などいろいろな詭弁を用いて、あきらめさせることが予想されます。

 シナリオとしてさらに可能性が高いのは、この中途半端な輸送システムの利用者が年々減少し(もちろん、主力の高校生の数が年々減少するのは鉄道でも同じ)、地元には鉄道で復旧させる熱意がないと、JR自体がこの沿線の輸送から撤退すること。

 気仙沼線沿線の需要を考えると、快速南三陸での対仙台需要と、ローカルの通学・通院需要に分かれるけど、BRTにしたら、完全にローカル需要に絞ることに。対仙台の需要は三陸道や東北道経由の高速バス1本にならざるを得ないでしょう。急ぐ一部の人は今まで通り一関経由新幹線というのはありながらも。

 鉄道で柳津以南が残るにしても、快速南三陸の代替機能としてBRT経由の快速バスとして気仙沼―柳津間をBRTで結ぶことはメリット皆無。わざわざ乗り換えもあるし、震災前でもたった2往復/日 しかなかったのに、不便な方法で気仙沼から使う人はおらず、せいぜい小牛田・塩釜など、仙台手前の途中駅への利用者位。やるとしたら三陸道経由での柳津直行バスでしょうが、それだったら仙台行高速バス乗るって。

 河北記事(3/4)より

気仙沼線仮復旧 BRTルート案提示 運休区間の6割

JRが作成した気仙沼線のBRTのイメージ

 JR東日本は3日、東日本大震災の影響で一部運休が続く気仙沼線について、仮復旧策として提示しているバス高速輸送システム(BRT)の運行ルート案を、仙台市内で開かれた同線の復興調整会議で、沿線自治体などに明らかにした。気仙沼市中心部は時間帯でバス専用道と一般道を使い分ける方針で、JRは今後、地元側に理解を求めながら具体化を図る。
 ルート案は図の通り。軌道を舗装するバス専用道を使うのは運休区間約55キロのうち6割とした。
 常に一般道を走行するのは志津川(宮城県南三陸町)、本吉(気仙沼市)両駅周辺などで、仮設住宅や病院を経由できるようにした。柳津(登米市)-陸前戸倉(南三陸町)は、BRTを導入するかどうかを含めて今後調整する。
 会議は非公開で行われ、JRは独自作成のコンピューターグラフィックス動画を紹介し、「20~30分に1本の運行が可能」などとBRTの利点を説明した。東北運輸局によると、地元のうち登米市と南三陸町の担当者はBRTによる仮復旧に一定の理解を示したものの、気仙沼市は「鉄道による再建を確約してほしい」と反対した。
 会議終了後に記者会見したJR東日本の大口豊経営企画部次長は「今後ルートや停留所の位置など計画を詰める。(地元が求める)鉄道再建のハードルは高いが、並行して検討は続けたい」と話した。

20~30分に1本運行可能っていっても、震災前に鉄道で2~3時間おきの時間帯もあったのに、バスになって急に本数増やす訳がない。一度増やしたところで、利用客がいないとして本数を減らことは目に見えている。そういうところは口だけというか、狡猾だなぁという面もあるが、地元住民も普段は車しか使わないのに、廃止は嫌だというのでは。クレクレだけでは理解が得られない。

 JRの苦悩

JRも新幹線や首都圏輸送で莫大な利益を上げているとはいえ、震災の影響は大きく、新幹線・在来線不通時の運輸収入減や復旧費用の負担も大きい。不通区間では代行バスの委託費用もあるでしょう。国鉄ではないので、株主の目もあり単純にローカル線の復旧に利益を回せる状況ではないのは事実。

 仙台近郊のJRでは震災後一部路線で短編成化が行われています。特に常磐線は亘理以南が不通で輸送需要が減っているとはいえ、本数を減らし、終電も1時間近く早まり、車両もほとんどが4両編成に。そのしわ寄せが岩沼―仙台間にきています。岩沼―仙台間は震災後に車を流された被災者・亘理以南・閖上、福島浜通りからの避難者も多く、太子堂駅近くに仮設住宅もあり、利用者が増えているので、夕方以降の仙台駅本線上り方面は、乗り込むのが精いっぱいの混雑が21時ころまで続きます。明らかに震災後に混雑がひどくなりました。常磐線が間引きされた時間帯は本線や空港線を含めても間隔が空き、利用者としても不便を強いられています。

 3月のダイヤ改正でも、この減便状態は改善されず、さらに短編成化が続くようで、本線の仙台―小牛田間、仙山線の日中はほとんど4両編成になるとか。そのほかの大船渡線や気仙沼線などでも、1両編成というのも登場するとのこと。

 別に既にある車両を車両基地に寝かせておいて、わざわざ短編成にする理由がよくわかりませんが、しいて言えばメンテナンス費用や清掃の手間の節減なのでしょうか。こういうとことについては、これまでのように批判したいところですが、震災後でJRも厳しい立場に追い込まれているとみるべきか。

 まぁ、国もJR東日本も根っこは一緒。東京からの視点なので効率一辺倒というか、地方を大事にするということを言いながらも、ホンネでは切り捨てたいという意識は感じます。

 自分としても、県民としてなるべく被災前に戻してあげたい気持ちもあるけど、日本全体、特に今回の被災地を含む地域は人口減に拍車がかかった状況であり、どこまでも”クレクレ”を許せる状況ではないんだろうなと。三陸道の全線整備とかもやって鉄道も全部もとに戻せとか、”クレクレ”のツケはどこかで払わなければならないことを考えると、ある程度の割り切りはやむを得ないのかなとも思います。妥協点としては、今柳津止まりになってますが、志津川までは鉄道で十分復旧可能で、あとはBRTでもしょうがない。

 

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コメント

はじめまして^^

鉄道の収支も問題なのでしょうけど、やっぱり地理的な条件も響いている気がします。

赤字が問題なら石巻線の石巻以東なんてもっと遅くなるはずですし。

投稿: しゃんたい | 2012年3月 6日 (火) 12時29分

>>しゃんたい さん こんにちは。

 地理的な条件は大きいですよね。例えば1時間に1本仙台への快速が走っていた仙石線と、1日2往復だけだった気仙沼線では復旧の重要度は違うんでしょう。もともとJR側にやる気があれば、快速の本数を増やすこともできたのでしょうが。せめて、仙台に早く着く時間帯とか。

 石巻線の石巻以東は、万石浦付近の冠水区間はあれど、末端の女川駅付近以外は線路は流されていませんから比較的早期の復旧が決まったんでしょう。この際、末端区間は廃止して浦宿終点で女川駅に改称してもいいんじゃない?って思ったりします。鉄道の存在意義はその先につながっていた気仙沼線の方が上でしょうし。

投稿: S-Watcher! | 2012年3月 9日 (金) 00時00分

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