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2012年2月26日 (日)

県内各市の市立病院(2)

一方、震災および大津波で大きな被害を受けた石巻市。旧北上川河口に約10年前に新設されたばかりの市立病院が津波の直撃を受け、1階部分は使い物にならなくなったこともあり、移転先は石巻駅前に決まりました。

石巻市立病院再建、石巻駅前に決定 15年度内完成目指す

宮城県石巻市は26日、東日本大震災の津波で被災した市立病院の再建場所について、市有地のJR石巻駅前駐車場にすることを決めた。用地購入費や造成費が掛からず、早期に着工できる点が選定の決め手となった。
 市関係者によると、駅前駐車場は現在の敷地規模(約7500平方メートル)と同等の面積を確保できる。駐車場として整備されていることから、大掛かりな造成は必要ない。
 近隣には鉄道、バスなどの公共交通機関網があり、高齢者が利用しやすい環境が整っている。他地域からのアクセスの良さも評価条件となった。
 駅前駐車場とともに建設候補地だった蛇田、渡波両地区の民有地は、用地買収のため100人以上の地権者と交渉が必要となる。多くが水田で、基盤整備に時間がかかる点も支障となった。
 駅前一帯は、津波で1階部分が浸水した。このため病院の低層階は、患者が常駐しない駐車場などとし、2階以上に病院機能を備える計画。
 2013年度に着工、15年度内の完成を目指す。緊急性の高い重篤患者に対応する2次、3次医療を担う石巻赤十字病院(同市蛇田)と機能を分担し、急患と長期療養患者双方を受け入れる「1.5次医療」の実現を目指す。
 市立病院の建設地をめぐっては、亀山紘市長が昨年7月、国の補助が得られないとして、津波が直撃した現在地(同市南浜町)での再建を表明。その後、国が移転再建でも補助する方針を打ち出したことから、別の建設地を検討していた。
 市は27日、市議会震災復興促進特別委員会で選定結果を報告する(1/27 河北より引用)

 他の候補地である、蛇田や渡波はこれから造成するから補助スケジュールに間に合わないとのことで、特に蛇田は近隣に今回の震災時の奮闘で全国的に有名になった石巻日赤病院があるから、バランスを考えたら渡波もありだったのでしょうが、ないだろうなと思っていた石巻駅前に決まるとは。病院が作れるほどの広さがあったんですね。石巻駅付近には震災後仕事で何度も行ってて、確かに広場や駐車場はあるなとは思ってたけど、意外に盲点。

悲惨な被害の中心市街地に光明?

移転先の石巻駅前には、駐車場として使用していた市有地があり、これって現在は石巻線の石巻駅に統合されたために不要となった旧仙石線の線路および駅舎跡地辺りと思われます。駅前にこんなまとまった土地があるというのは。であれば、JRから市に買ってくれと言われて仕方なく過去に購入したと思われる塩漬け土地が、このような形で生かされることに。石巻駅前には、旧さくら野百貨店が閉店した建物に移転した市役所もあるし、これで病院も来るとなれば、中心市街地の再生には行政側の取組としてこれ以上のものはないと思われます。

 それにしても、さくら野の閉店とか津波とかマイナスの出来事が理由でたまたま駅前に公共施設が集まってくるというのも複雑な気分。大きな被害を被り復旧のめども立たずに取り残された石巻の中心商店街に何を求めればいいのか。津波被害を受けたエリアということで、被災者の居住区域としても積極的に進めづらいでしょうし。

 今日の河北で、定期借地権を使って石巻の中心商店街の再生を(駐車場+店舗+災害公営住宅)という意見が紹介されていましたが、確かに、このままの状態で再建を各地権者任せというよりは、定借を用いて行政側としても土地代負担が少なく災害公営住宅を建てることができること、駅前の市の顔となるエリアの再整備ができること、津波災害を踏まえた避難できる中層ビルが作られることからすると、悪いアイディアではない。ただ、元のアイディアは全国有数のアーケード街で有名な高松の丸亀町商店街を参考にしたもの。同じ地方都市とはいえ、30万人規模の四国の拠点都市と同じように行く訳はないでしょうが。どこかに災害公営住宅を建てなければいけないのであれば、中心商店街の場所を活用するというのはありでしょうね。ただ、権利関係の調整が難しいだろうし、2~3年位で整備しなければならない災害公営住宅の整備スケジュールと合うか。

日赤病院との関係

前述の石巻日赤は郊外立地で、バスもわざわざ経由させたりして交通弱者にとっても便利なように取り組んでますが、やはり車が便利な立地。その立地を生かして三陸道からも直接入れるような救急車の入退出路も整備しているなど、あの立地は絶妙で、今回の津波からも間一髪のがれられました。以前は海の近くで今回の津波で完全に被害にあっている場所にあったから赤十字の移転がなければどんなことになっていたんだろうと恐ろしい思いに。

 まぁ石巻は、大崎のように市民病院一極集中型ではなく、日赤がメイン病院で市立病院がサブ拠点病院の扱いだから、石巻駅前にサブ病院が立地というのもバランスが良い。

中心商店街云々への効果を積極的に期待できるような状況ではないですが、それより交通弱者が関わることが多い総合病院が鉄道・バスが集まるメイン駅近くにできるということは、公共交通の利用者増にもつながるし、まだ完全に復旧していない仙石線・石巻線の復旧の名目にもなる。それより、郊外への移転であればわざわざ通院のためにバス路線を新規開設しなければならないところを、既存の路線でカバーできることも一応評価できる点でしょうね。

 なお、車の利用者にとっては、駅北の中里から行こうとすると踏切もあり、市役所もありで結構流れが悪いエリア。駐車場の台数はそれなりに確保するでしょうけど、その点は混乱を招くでしょうね。

そもそも

 被災した現病院の復旧も、建物的には可能だったんでしょうが、いろいろ批判が出たこと、補助が出ることになり一気に移転に舵を切りました。一階部分を改修して診療機能は2階以上にとの前提だったようですが、建物的にはまだ10年程度しか使っていないものだから、もったいない気も。

 もちろん、利用する市民も、あと勤務する医師・看護師にとっても、津波の直撃を受けたエリアに再建するのはどうかという思いが強いのでしょうが、これも大盤振る舞いされている震災がらみの国の補助(原資は復興増税)ですから、採択されている事業がなんでもありに思えることがあり、被災地県民として複雑な思いを感じることもあります。例えば10年ちょっとの歴史しかない市立病院を再建しなくとも、大崎方式でメイン病院の日赤の機能集中強化を図るという手もあります。

 三陸道も復興道路として宮古まで10年で全通とか言ってたり、県内分は登米以南は4車線化とか。石巻以南の4車線化は必要だと思いますが(特に仙台港北IC-利府JCT)、無料化のおかげで交通量が伸びた路線であり、どさくさに紛れてというにしてもちょっとなぁと思うところも。ハコものだけでなく、住民の生活再建なども重要ですしね。

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