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2006年12月16日 (土)

仙台と新潟(公共交通機関)

 仙台の公共交通機関のでたらめぶりについては、常に書いているところですが、

さて、一回り小さな都市の新潟はどうなのか?

 結論からすると、仙台以上の車社会ぶりで厳しいながらも、もともと50万都市ということを考えるとまだ健闘しているのかもと感じました。

JRについて

 

 今回は車で移動したため、JRは使いませんでしたが、3年前に佐渡に行った時に使った覚えがあります。

中心駅である新潟駅は、ボロボロの40年前の時代にあったような駅で、駅前もオフィスはあるものの、魅力を感じるような場所ではありませんでした。駅自体の中に多少商業施設が入り、ヨドバシカメラもあったような覚えがあるが、仙台の初代ヨドバシ程度(旧西口店)程度の印象で、需要があれば駅近くに店舗面積を拡大させているだろうに。ただ、メイン口の万代口だけでなく、南口の方にも改札が設置されているのは、東口に改札がない仙台と比較してよいところ。というのも、メインの西口に新幹線ホームや改札も集中させた仙台(郡山も同じ)と、開けていない方に新幹線ホームを設置した新潟(福島も同じ)との違いなのでしょうが。

 駅自体が町の中心である仙台駅との違いもあるのでしょうが、駅内の充実度は段違いです。

新幹線

 1時間に1~2本の本数。東京方面への距離は仙台からよりも短いのに、所要時間は軒並み2時間10分以上。

というのも、上越新幹線沿線の人口の薄さ、新幹線の終点であるところ、新潟の都市規模の小ささもあり、速達系統は記録作りのための1日数本以外はほぼ隔駅停車。

 1時間に3~4本の本数があり、また大宮まで無停車のはやてが毎時1~2本存在する(所要時間1時間40分)仙台と比較すると寂しさは否めませんが、仙台は実質はやてしか使えない(他のやまびこ乗っても殆ど次のはやてと到着時間が一緒)ことを考えると、実質的には1時間1本というのはあまり変わらないのかも。

 大きいのは、東京だけでなく、北は青森や秋田までつながっているという意識。また、将来は北海道までつながるというメインの幹線である東北新幹線と、約5年後の北陸新幹線開業により、北陸方面への乗り換え客を殆ど失ってしまい、ローカル新幹線化してしまう上越新幹線の将来性の違いでしょう。

 そうすると、新潟県でも西部の上越市、糸魚川市などを中心とする3~40万人の圏域が北陸新幹線利用圏に移り、

新潟県内で上越新幹線を使うのは約200万人のみ。庄内方面の乗り継ぎ客を含めても、利用圏は230万人程度になってしまいます。東北新幹線は、ミニ新幹線部分も含めて東北1000万人近いエリアをほぼカバーしているのに。

 現時点での北陸300万人近い利用圏も失うことで、上越新幹線は現在の長野(北陸)新幹線との力関係が全く逆転してしまうというのも残酷なもの。まぁ、そもそも新潟単独では新幹線は無理で当初から北陸方面へ新幹線を伸ばすということをせず、田中角栄の存在で無理やり引っ張ってきたものなのだから、自業自得でもある。

 

 となると、編成短縮(12両→8両)、全て各駅停車での時間増(2時間10分→2時間半)、本数減(毎時1~2本→ほぼ終日毎時1本)などが予想されますので、それを新潟市の政令市化による拠点機能の高まりがどの程度上越新幹線の衰退を抑えられるのか。

在来線

 Suicaが使えるという条件については同じ。電車の本数、両数は多少仙台の方が多いにせよ、都市規模の差を考えると意外に新潟近郊は便利かもしれません。

 新潟の人口の張り付きは、越後線の海沿い(新潟大学方面)に市街地が伸びている反面、その他の2路線方面は顕著なベッドタウン化は見られない(仙台の東北本線松島方面のように)ようですが。

 というのも、近郊区間については、乗車20分程度の区間までは、3方向とも昼間毎時3本(20分間隔)を保っています。仙台では快速が間に入ることで本線(長町・南仙台・館腰)、仙石線(榴ヶ岡~中野栄)など昼間30~40分待ちの時間があったりもするので、それに比べれば安心感はある。

 それでも、便利なのは新潟駅から20分圏で、それを超えると一気に本数が毎時1本以下の世界に入ったりもする。例えば、長岡方面でも新津までは20分間隔。超えると毎時1本の世界。仙台でも愛子や松島を境にしてそのような急激な本数格差がありますが、より極端な感があります。

 中心駅の利用客に倍以上の差があること、周辺駅の乗降客も中心部の役所などに近い白山以外は1万人以下(仙台は1万人以上の駅が近郊に7駅ある)を考えると、同じJR東日本管内でもやり方次第ではそこそこ便利なダイヤが実現できるということなのか。支社によっての考え方の差か。

 

 まぁ、仙台は、来春から空港鉄道開業による本数増や、新駅設置、新型電車の導入もあり、ここで差を広げることになりそうですが、仙石線など、快速の入る時間帯の空き時間の解消は難しいと思われる。

 また、新潟は夜の電車本数などが極端に減る印象。やはり歓楽街の古町が駅から離れているということで、夜の酔客の利用が面倒なのもあるのか?

 終電は仙台より20分程度早く大体23時30~40分のよう。新幹線の最終到着が23時53分なので、全く接続しないというのもすごいなと思う。新幹線終電到着時間は仙台も新潟もほぼ一緒なのに。それでも他の中都市と比べればかなり便利な方ではある。

バスなど

 新潟は、仙台のように地下鉄があるわけでもなく、私鉄も有効活用できずに近年廃止されてしまったようですので、基本的には新潟交通が独占して市内のバスを運行しています。

 新潟でもったいないのは、都心が分散しているところ。

新潟駅-(徒歩7分)-万代シテイ-(徒歩10分)-古町

微妙な距離感です。仙台駅と三越の間位でしょうか。福岡の博多駅と天神間よりは短いものの、拠点が3つに分散しており、その間を結ぶのはバスのみ。歩くことも出来ますが、殺風景な幹線道路沿いで、特に冬は風も強く、信濃川を渡る萬代橋などは吹きさらしで辛い。仙台の場合、アーケードで結ばれており、地下鉄もあり、100円バスもあるので、それほど遠いという感じはないのに対して、孤立感を感じます。

 オフィス街の新潟駅付近、大型商業施設が集中する万代シテイ、古くからの繁華街&歓楽街の古町とカラーが明確で、面白さを感じますが、いかんせんバスだけで結ばれているというのは都心としての集積効果が発揮されていない。

 古町-新潟駅間のバスの本数は本当にひっきりなしに発着しており、渋滞もそれほどないようでしたが、やっぱりバスというのは拠点を結ぶ効果としては弱いものがあるのか。個人的には、LRTが最も効果的な都市が新潟だと思っているので、JR新潟駅と万代シテイ、古町、JR白山駅をLRTで結べば利用客もそこそこ見込め、政令市化に伴う都市改造にも効果が発揮できるのではと思います。新潟市でも駅南のビックスワン方面も含めたLRT構想を出しているようですが、地元大企業であるバス会社新潟交通に遠慮して、当面の間はバスをメインの公共交通機関として活用するとか。戦前あたりからその新潟交通が経営していた鉄道を延伸して、古町や新潟駅方面に路面電車を敷設するという計画があったようですが、結局実現せずに免許返上したとか。これが出来ていれば都心部がもっと元気になっていただろうに。

 ただ、新潟でうらやましいのが、その1社しかない新潟交通が立派なバスターミナルを万代シテイに建設し、そこから各方面へバスを走らせているところ。バスターミナルは確かに老朽化しており、30年程度経過していて、明るい空間ではないですが、周辺には新潟交通が開発した伊勢丹、アルタ、専門店ビル(ビルボードプレイス)が位置し、新潟で一番賑わっているエリア。商業集積だけみると仙台駅前に匹敵するかも。新潟駅前が商業的にほぼなにもないエリアであることと対照的。

 本数も各方面そこそこあり、終バスも10時半程度と仙台とさほど変わらない。市街地が連担する新潟大学・内野方面には、複数の系統でひっきりなしにバスが発車しているよう。都心から15km以上離れたところで、平行してJR越後線も走っているのに、このバスの多さはなんだろうなと。仙台で言うと仙石線沿いに多賀城や塩釜までバスが頻繁に走っているようなもの。仙台では考えられない。拠点が駅前以外の場所に分散しているという事情もあるのだろうが。仙台では、都心部のバス本数は多いが、だんだん枝分かれして末端区間の本数は悲惨なもの。30分間隔や1時間間隔が当たり前だったり。それと比べると、遠くまで本数が確保されているのはすごいと思う。もちろん、鉄道網が発達していないという理由はあるにせよ。JRが単線で毎時3本が限界だからと、バスが補完している例。福岡の西鉄バスのように大量交通機関の地下鉄に真っ向から勝負を挑んでいるというトチ狂ったケースとは異なる。

 ただ、バスはボロくて、仙台では見かけない小型のバスも普通に走っていました。

Pb190502

万代シテイバスターミナル付近の風景

また、最近運賃を値上げしたようで、市内均一区間は200円に。均一運賃ってメリットデメリットあるけど、乗るときに運賃を確認しなくてもいいというのはいいところ。仙台も昔は均一運賃だったようですが。

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