アーケード論
今日のMJ新聞に、コンパクトシティ論についてのコラムが掲載されていました。
佐世保の実例
実例として、佐世保の日本最長?とも言われるアーケードの賑わいについて特集されてました。人口24万人で米軍や造船という斜陽産業に頼っている中都市佐世保。地形的にも地域の中心とはいいながらも海で半分がさえぎられているこの街。この条件であれば山形市や福島市、郡山市の方がよっぽど人口面でも地形面でも条件がいいはず。
佐世保からは、福岡に向かって高速バスも特急かもめも1時間にそれぞれ2~3本出ているなど、外的な条件もあまりいいわけではない。
この街のアーケード街の賑わいは驚愕ものです。
というのも、自分自身、8年前にこの佐世保の街を訪れたことがあるから実感しているもの(ハウステンボスには行ってない)。あれから8年経ってもあの賑わいぶりは変わっていないようで一安心。
アーケードの入り口は、駅の真正面というわけではなく、ちょっと外れた場所にあり、国道と平行して長さ1kmと直線ではかなりの長さのアーケードが始まります。
行ったのは確か平日の昼間だったと思うけど、とにかく空き店舗がない!人も仙台の中央通には負けるものの、それでも中都市にしてはかなりのもの。記事では休日は3万人もの人出ということだったけど、仙台のアーケードの2/3程度で、人口24万人の都市としては信じられないレベル。
公共交通の充実
この賑わいはなぜ?と不思議だったけど、要因として、大型店がアーケード内に2~3店点在し、回遊性があること。大型店としては全国的には中心市街地派にとって非常に評判が悪いJUSCOが、ここ佐世保では従来型の店舗として集客力を誇っていました。またこのジャスコに隣接して、第三セクターの松浦鉄道の佐世保中央駅が隣接。この駅は隣の駅(中佐世保駅)と何と200mしか離れていないという物凄い駅間。
アーケード街への利便性を考えて新設したとのことで。
この松浦鉄道は、旧国鉄の松浦線を第三セクターとして存続させた元超ローカル線ですが、第三セクター化を期に、佐世保近郊区間では20分おきの運行ダイヤと地方都市としては便利なダイヤを組み、積極的に新駅を開業させ、黒字経営を保っているチャレンジ的な路線です。
佐世保を訪れた時に友達の家に行くために一度乗りましたが、昼過ぎの時間なのに、かなりの乗降客。まぁ1両ワンマンカーとバス並みの輸送力とはいえ、それでもこの間隔で黒字経営を保っているというのがすごい。きれいに20分間隔であれば、仙台近郊のJR線よりもよっぽど便利に感じたりする。
また、佐世保の地形は、町全体が仙台の八木山のような、山や坂だらけの地形で、バスが非常に使われている(自転車が使えない)ため、その坂や山だらけの住宅地に住む高齢者がバスを好んで使うために、バスが集まる佐世保都心部の賑わいにつながっているところがあるように感じました。
コンパクトシティって
前述のジャスコのすぐ近くに中核的な病院があったり、アーケード沿いに市役所や広場があったり、街中に行けば大抵の用が足せるという機能的な街で、ここが賑わっているのもわかります。これはもちろん地元商業者の空き店舗を作らない努力もあるようで、こういう頑張っているところもあるんだなぁとうれしく感じます。
コンパクトシティって別に特別なことではなく、昔であればあたりまえだったこと。
それが都心部商業者の努力不足と自治体の郊外拡大志向、大手スーパー等の郊外への無秩序な陣取り合戦を経て、この10年間で一気に全国各地の中都市以下の都心部は壊滅的な状況であります。
この佐世保も、賑わいがいつまでも続く保証はなく、ご他聞にもれず郊外に超大型店の開店が計画されているとのこと。同じく8年前に行った高松も、アーケードとしては仙台以上という規模と広がりを誇る町並みで、人通りの多さも含めてビックリした覚えがありますが、その後郊外への複数の大型店の出店により、今年の1月に久々に訪問した際にはあまりの変わりように愕然としたことが。夜になると閑散とした商店街に変身してしまっていました。
仙台では
仙台は、郊外にイオンを中心とする大型店の出店が続き、都心部はなんとか持ちこたえているものの、地域の商店街がかなり疲弊しています。
都心部も最近は危機感を持って、いろんな取り組みをしていますが、結局不動産屋として生き延びているだけで、自分が儲かればいいと、自分の街に対する愛着がないことが、全国チェーンに席巻された今の仙台のアーケード街があるのでしょう。まぁ今の状況はやる気のない老舗が店を開いているよりは魅力的な商店街となっていますが、このままではどうなるのだろうと不安になります。
これ以上の郊外大型店の出店も予定されていますが、一方政府では都心部重視・郊外開発抑止の方針も検討を始めています。もう遅すぎるくらいですが、これは絶対に必要なこと。
これが既得権者の保護だけに終わるものではなく、市民にとって本当に利益がある、仕方なく都心部に行くのではなく、積極的に行きたくなるような魅力ある都心部作りに寄与するものになっていかなければならないと思います。
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