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2005年2月15日 (火)

宮城県人口前年割れ、減少率過去最高

 2年ぶりに宮城県の人口が前年割れし、前年比1709人減(減少率0.07%)とのこと。少子高齢化による自然増の減少も進んでいますが、深刻なのは前から言われている社会減が大きくなっていること。

 この数字はショッキングなものです。一時的な減少ではなく、構造的なものになりつつあります。


首都圏への流出増

 景気回復の遅さから、県内の求人状況は持ち直してきたものの依然厳しい状況で、雇用機会の大きい首都圏に流れているのと、やはり仙台の支店規模縮小で、東京への転勤者の回帰が起こっているのもあるのでしょう。

仙台の吸引力の低下

 県内の人口増を引っ張ってきた仙台都市圏の人口増ですが、以上のような理由もあり、最近はかなり増加が鈍化してきました。

 仙台市も以前は年間1万人の増加をコンスタントに記録していましたが、人口100万を目前にした時期から急激に増加が鈍化し、最近は年間2000人増程度にとどまっています。市内で人口急増区だった泉も最近は落ち着いています。若林、太白、宮城野区は横ばいか減少で、中心区の青葉区も旧市域は横ばいで旧宮城町区域での人口増で持っているようなもの。他の大都市のように、急激な中心区への都心回帰は起こっていません。これは、中心部のマンションに住んでも車を手放せない仙台では、1~2万という駐車場の高さがネックになっているとともに、物件価格の高さほど都心の魅力が高くないこともあるのでしょう(青葉区都心立地のマンションは一時期より増加したものの、物件によってはかなりの売れ残りを抱えているところもあるようです)。

 仙台周辺自治体でも、コンスタントな増加を続けているのは富谷町位で、一時期爆発的な増加をした利府や七ヶ浜、名取ではかなり人口増が鈍化しています。

県周辺部の状況

 県の周辺部ではなおさらで、古川は県北部の中心として仙台とのアクセスのよさもあり、県北部からの人口増が続いていますが、その他の地域は過疎化が止まりません。石巻や気仙沼も、アクセスの悪さや主産業の衰退で人口が流出傾向(これは今始まったことではありませんが)。

人口減を止める対策

 そうすると、この人口減をとめるには、県全体での取り組みも必要ですが、手っ取り早いのは仙台の魅力を再び高めること。

 以前から仙台一極集中と言われていましたが、今はその仙台自体も人を引き止められずに首都圏に流れていってしまっています。

仙台一極集中?

 県内周辺市町村にとっても、”仙台ばっかり”という妬みは昔から聞いてきました。「店もイベントも情報も全て仙台ばかり。おらが町にはなにもない」と、活力減少が続くことに対して無力感を感じ続けているところがあります。

 確かに、仙台は県人口の4割以上を占め、富を独り占めしているような印象があります。仙台を除いた宮城県の人口は135万人で岩手県レベル。宮城県自体それほど人口は多くはありませんが、その6割を仙台都市圏が占めているというのはかなりの割合です。

 とはいえ、「仙台がコケたらみんなコケる」という状態にもなりかねません。仙台のような大都市が存在することのメリットは大きいからです。

  例えば、宮城県に仙台規模の都市がなかったら、県内周辺部からは首都圏方面への転出が桁違いに多くなっていたことでしょう。東北地方他県からも同様です。仙台が宮城県・東北地方の人口ダム機能を果たしてきた面は大きいものがあります。

 これは、北海道における札幌、九州における福岡も同様で、両地方とも炭鉱の閉山や第1次産業の不振で多くの失業者を出しましたが、札幌・福岡という大都市の存在のため、首都圏・関西方面への流出を抑えた面があります。

 そのような機能を持つ都市がない四国では、吸引力の強い都市がなく、全体的に沈滞ムードです。また宮城県と同規模の人口を持つ福島県は、宮城とは対照的に、福島市、郡山市、いわき市と30万都市が3箇所に分散しています。バランスはいいのですが、どの都市も決め手を欠き、活力も分散している印象です。

地域に大都市が存在すると、その大都市があるおかげで、買い物や様々な娯楽などを気軽に楽しむことができます。今年からはプロ野球も進出し、これまでのように受身のお客様感覚ではなく、「地元の球団」として参加意識を持ちながら野球を楽しむことができるようになりますが、これも100万都市である仙台があるからこそ、実現したことです(他力本願のタナボタでしたが、良く言えば投資を呼び込む力があるってこと)。


 仙台が100万クラスの都市でなく、もし四国のように40万人規模に留まっていたら何の娯楽もなくちょっとした娯楽を享受するためにも東京に行かなければならなかったかもしれません。

 農業や水産業にとっても、身近な大都市があれば大きなマーケットになるし、売り込みをするにもいい場所になるので、十分メリットを享受できます。


悪平等主義の弊害 

 宮城県では10年ちょっと前に、県周辺部への懐柔策で「県有施設や文化の仙台一極集中の打破」をスローガンに、県内の小規模拠点都市へ文化ホールなどを建設しました。

迫(登米)、築館(栗原)、大河原(仙南)では文化ホール、市民会館があった気仙沼では美術館をほぼ県費で建設しました。


 これらの施設建設には、一箇所あたり数十億の莫大な費用がかかりましたが、これらの施設が現在有効に活用されているかというのは疑問です。

気仙沼の美術館は市へ運営が移管され、維持費の捻出で苦労しているようです。どこもデザインは斬新なものでしたが、中身が伴わなかったのは全国至る所にある公共施設と何ら変わりません。

 市民レベルでの創作・発表活動の活発化という効果はあるようですが、それは既存の公民館ホールでも実現できたこと。1000人規模のホールなんて自治体主催の新年会や学校の音楽祭、たまにある民謡コンサート位でしか使わない。

 これで地域の文化レベルが上がったのか?

結局は国体とともに、県の財政難を引き起こした元凶となっています。


 全ての施設を仙台にというのはもちろん行きすぎですが、極度の平等主義も非常に効率が悪い。

 宮城県でいえば、県南は仙台でカバーできますが、県北は確かに広い。交通の拠点である古川や小牛田へそのような集客施設を1つ整備すれば、イベントなどでも県北一帯の人が利用できる。今は車社会ですから、車で概ね1時間圏に収まりますし。

 根本的には、大きな興行イベントが頻繁に行われるのは仙台ですので、仙台の機能を頻繁に活用できるように、仙台との交通アクセスを整備することの方が、効果が高いのではと思います。


 例えば、新幹線が整備されている古川、築館周辺からは新幹線で30分以内で仙台へ行くことができます。新幹線は運賃が高いですが、東北道もあるのでいざとなったら1時間に1本程度ある高速バスで往復2000円以下で1時間程度で行くことができます。

 県南方面も、在来線で1時間圏にすっぽり入りますし、石巻も現時点で快速で約1時間。

 以上のエリアは、仙台への通勤通学も可能な地域です。

 登米郡地方からも昨年高速バスが運行を開始し、1時間半程度で結ばれています。


 ただ、既存の交通機関は本数が少なかったり、終バスが早かったりで通勤通学に気軽に使えるようなものにはまだなっていないので、流動が大きくなるとともに利便性が高まれば、「わざわざ仙台に引っ越さなくても地元から通える」ということにもなり、県周辺部の人口減を少しでも止める効果があるのかなと感じます。

 理想は、今の仙台山形高速バスのような利便性が確保できればですが、

せめて30分に一本程度あればと思います。

 

 また、気仙沼地方は”宮手県”という造語もできた位の陸の孤島で、仙台からは気仙沼に行くより東京に行くほうが早くて便利という現実。

通勤通学は流石に無理ですが、この交通アクセスの悪さは改善が必要。

無駄な道路整備への批判も大きいですが、気仙沼までの三陸道の整備は必要

です(無駄な施設を作るよりは幹線道路の方がましでしょう)。


楽天効果はいかほど?

 話をもとに戻して、根本的に人口減を止めるためには、

現在県や市が進めている新規産業の創出や企業誘致などで就業先を増やすことが先決ですが、地道な取り組みになるでしょうね。仙台に足りないのは東北大の卒業者を引き止めることができる位の産業。卒業者が流出する一方では地元に東北大の知を残すことができず、「学都」ではなく「大学があるだけの都市」という状態が続いてします。


 コールセンターも確かに雇用量は大きいですが、安い労働力を求めてという面がありますので、かつての工場誘致のようなもの。今は安い通信料を武器に日本を飛び出して中国の大連にコールセンターを開設する動きもあり、

このような安さで競争していては、かつての誘致工場のようにいつ逃げられるかわかりませんので、他都市と比較しての強みを生かした産業の集積ができればと思います。


 他都市と比較した強みといえば、楽天というプロ野球も全国で12球団しかないわけですから、十分強みです。

 選手、コーチだけでも80人弱(そのうち仙台・宮城にどのくらい住民票を移すかは分かりませんが。2軍は山形ですし)、球団職員も3~40人で、まだ効果は見えていませんが、家族を含めると200人位の人口を引き止める効果があるのでしょうか。

 これだけだと、誤差の範囲内ですが、各スポーツ新聞社が仙台の拠点を拡充する動きがあったり、飲食店やホテルなど、楽天がらみでの新規求人需要がこれから顕著になってくると思いますので、あまり悲観的になってもしょうがない。


中高年の「Uターン」増加 定年で帰郷、人口移動調査より

 最後に、これも希望の星かな(2/16追加)。

 出生した都道府県から転出した人のうち出生地に戻った人の割合を示す「Uターン率」が中高年で増加していることが31日、国立社会保障・人口問題研究所が2001年7月に実施した人口移動調査で分かった。

 調査時点から5年先までに大都市から地方へ移動する人の割合も増加する見通しで、理由として50歳以上の男性では「定年退職」が増加。研究所は「第一次ベビーブーム世代の定年が今後本格化するため、地方への移動がさらに増加する可能性がある」と分析している。

 調査は、人口移動の動向把握と社会への影響解明を目的に5年ごとに実施。全国の約1万4700世帯に調査票を配布し、85・5%から有効な回答があった。


第5回人口移動調査の概要 国立社会保障・人口問題研究所

先日、全国的にニュースになったものです。


 雑感としては、いくらふるさととはいえ、40年も首都圏に住んできて退職後いきなり地元にUターンしても、適応できるのかな?培った人脈は首都圏中心でしょうし。田舎暮らしが憧れって言ったって、都会暮らしにからだもアタマも慣れている人にとっては、厳しいかもね。

ふるさとも自分も友達も変わっているでしょうし。また、特に旦那のふるさとに関係ない奥さんの説得が一番大変だろうな。


 まぁ、仙台あたりは転勤族も多くて、都市機能と田舎のバランスも良いから、Uターンの受け入れ先としてちょうど良いかもね。ただ、場所を選ばないと、独特な風習や習慣が残っている地域も多いですが。人情味があって良いと思えるかどうか。


 関連日記:仙台は東北の中心? (10/16)

 

 

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